南大谷物語
【天神社昔話 その1】
私たちが住む南大谷には古くからこの土地を見守ってきた南大谷天神社があります。このお話はその昔、天神社で行われていた雨ごいのお話です。
南大谷天神社には二つの大きな幟(のぼり)があります。その幟は9月に行われるお祭りの日に立てられていました。幟には長さが1メートルほどある龍が幟の枠にほられています。
この龍は幕末の時代にほりもの職人の手により3か月がかりで作られたものです。日照りが続くと南大谷天神社でも雨ごいが行われました。雨ごいが行われるときには大山の阿夫利神社に使者を向かわせ、水を持ってこさせたといいます。大山の水が届くと氏子たちは幟の龍を担ぎ恩田川にある雨ごい橋へ行き、川の中に幟と大山の水を沈め、降雨を願ったといいます。
この昔話の出てきた大山は古来より【あめふりやま】と呼ばれ、雨ごい信仰の中心地としてその役割を担ってきた山です。阿夫利神社の御祭神の一人に、タカオカミノカミという神様がいます。この神様は水を司る龍神様とされています。
天神社にまつわる昔話はほかにもありますが、それはまた次のお話で…。
参考資料:町田市文化財保護審議会編「町田の民話と伝承」